◆東京展賞 田所一紘 古田洋司


◆優秀賞 石川恵助 小野和子 佐藤洋子 西村幸生 武藤順子
山崎仁 小泉誠 星恵美子 松岩邦男 竹佐知子 富田恵子

会場風景




シンポジウム


  



   東京展が第31回展を開催するに当たり、新しい企画として、現在の美術界の問題について東京を基点として考えるシンポジウムを開催いたしました。
タイトルは「今日の美術における<東京>」とし、9月23日(祝)午後2時から東京都美術館の講堂において次の4氏をお招きし、パネルディスカッションをいたしました。
パネラーは
赤津侃氏(美術評論家。現代の作家状況を常に掴み、辛口の批評は定評あり)
永井龍之介氏(永井画廊社長。テレビの「何でも鑑定団」の鑑定士として一般にも有名)
澤登丈夫氏(絵画コレクター。「美楽舎」の代表。現在三菱系企業の取締役)
難波進氏(現代アートの水先案内人。.作家の個展・グループ展を企画開催支援)
村岡委員長の挨拶に続き、斎藤事務局長の司会により、熱のこもった議論が展開されました。
永井氏は「明治以降東京は、外国からの文化・文明を受け入れる最前線の基地であり、多くの文化を作る場の中心的役割を果たしてきた。しかし、現代の文化・芸術を発信することはほとんどなかった。東京には世界中の情報があふれている一方、背景には東京という土着がある。これからは東京という『土着』性を考えながら、アーティストを見出し世に問うていきたい」
澤登氏は「美楽舎は美を楽しむ会ではあるが、美術館や団体展などを見るだけでなく買うこと、買った作家がその後評価されていくことは非常にうれしいことだが、まず買うことが作家の支援になると考える。しかし作家から直接買うことはしない。画廊、多くは企画画廊を通じて買う。作家を育てるよい画商と向き合って、コレクションの質を高めていきたい。」
難波氏は「過去、個展80回、グループ展5回、アートツアー9回その他アーティストトークなどを手がけてきた。私は絵を買うことはないが、こういう形で美術の愛好家を増やし作家の支援をしてきた。このシンポジウムを機会に、また水先案内の活動をしていきたい。」
赤津氏は「東京は日本の美術の中心であった。私が担当した朝日ジャーナルの表紙も、都美館の団体展から作品を選んでいた。しかし、現在の美術界は現代美術、団体展、若手のゲーサイに至るまで『車座』になってしまっている。内むきに座り、外の世界に背を向けている。画商やコレクターを含め車座が交差しなければだめだ」また「団体展の行方は難しい。独自性を出すべきだ。今年の東京展の展示は良かった。31回展は新しい東京展の第1回展といってもよく、楽しみだ」と話しました。
時あたかも戦後60年、東京展満30年というタイミングにふさわしく、250名を超える入場者のもと、充実したシンポジウムとなりました。画商やコレクターを入れ、地に足のついた議論が日本の美術界に投じた一石は、今後とも波紋を広げていくことでしょう。


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